SSブログ

サイエンスZERO 電気を起こす微生物『発電菌』

昨年の電気事業者による再生可能エネルギーの発電量は、約50億kWh。これ以上の効果をもたらす期待されているのが発電菌です。
2016年4月24日O.A.『サイエンスZERO』から

スポンサーリンク

発電菌を使って田んぼで発電


発電菌の一つ「ジオバクター菌」大きさは2/1000mm。

発電菌の一つジオバクター菌

このジオバクター菌は田んぼの土の中に多く生息しています。

発電菌は、稲が根から出る有機物の一部を食べて電気に変えるのです。

-の電極を土の中に、+の電極を水の中に入れ、発電菌が食べた有機物を分解する際に体の外に電子を放出するのです。

発電菌から電気を取り出す方法

1m2当たりの発電量は約50mWで、携帯音楽プレーヤーを動かせる程度の電力が得られます。

【感想】シュワネラ菌が初めて発見された発電菌。1980年代に米国NYで発見されました。これまでに約20種類の発電菌が発見されています。


発電菌が電子を生み出す仕組み


食料(有機物)は体の中で分解されるとき、電子が発生します。

人間などの酸素呼吸をする生物は、この電子を酸素と反応させ水に変えて体の外に放出させています。

一方、発電菌は、細胞膜に電子を通す特殊なタンパク質があり、電子を外へ放出することができるのです。



微生物を利用した『微生物燃料電池』


『微生物燃料電池』とは、微生物(発電菌)に燃料を与えながら発電する装置のこと。

微生物燃料電池

写真の装置は、シュワネラ菌が燃料とする乳酸を、この容器の中に入れると、乳酸を分解して電子を出します。

+極では電子と水が反応して水ができます。

発電菌の一番の違いは、好むエサが違うこと。シュワネラ菌は乳酸を、ジオバクター菌は酢酸を好んで食べます。

スポンサーリンク


微生物燃料電池の問題点


微生物燃料電池の問題点は、時間が経つと、有機物や発電菌を増やしても、発電量は増えなくなること。

原因は電極につく発電菌の数が限られているためです。

そこでシュワネラ菌の住む環境に合わせて、鉄を加えた結果、発電量が5~10倍に増えました。

これは鉄の粒子が、離れたの発電菌の電子を電極まで届けたと考えられます。

発電菌の電力を高める方法

また電極の素材や形に改良を加えた結果、発電量は研究開始当時の50倍に!

計算上、1m3の装置の発電量は、50kWh程度(家5軒を賄う発電量)になります。



発電菌を使った画期的な廃水処理


下水処理の「活性汚泥法」という廃水処理は、微生物に汚れである有機物を分解させて、水をきれいにします。

微生物は酸素を取り込み、有機物を分解するので、タンクに大量の酸素を送る必要があります。

それに対して、発電菌は酸素を必要としないため、タンクに酸素を送る必要がなく、発電までできてしまうのです。

これは下水処理場の消費電力の8割超の削減に相当します。全国の下水処理場の電力は年間70億kWhで、国内消費電力の0.7%にあたるため、大いに期待されています。


発電菌を使って枯渇資源を回収


さらに微生物燃料電池を使って、枯渇資源であるリンの回収が期待されています。

岐阜大学が発電菌を使って、日本でほぼ輸入に頼っているリンを回収することに、世界ではじめて成功しました。

豚の尿やフンなどが入った廃水を、微生物燃料電池に入れて発電を行うと、+極にリン酸マグネシウムアンモニウムが付着します。

微生物燃料電池でできたリン酸マグネシウムアンモニウム

微生物燃料電池を使うことで、エネルギー問題と資源問題の両方を解決できると期待されているのです。

スポンサーリンク

関連記事


サイエンスZERO 電気を起こす微生物『発電菌』

サイエンスZERO ミドリムシから作るクッキー、燃料、CO2消費で地球問題を解決する


nice!(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。