SSブログ

ドクターG『足の付根が痛む』の病名は『稀少部位子宮内膜症』8月24日

IT関連の会社に務める岸田千明さん(38歳・女性)。右の足の付根が激しく痛み出し、床に座り込んでしまった。
2016年8月24日O.A.

スポンサーリンク

主訴:足の付根が痛む


主訴:足の付根が痛む

【来院当日】
■右の足の付根に、重くて押されるような痛み。痛み出したのは朝からで、13:30に激しい痛みになった。
■バイタル:体温36.3℃ 血圧126/72 脈拍72回/分 呼吸数20回/分
■痛みが移動することはない。違和感は4か月前からで、触ると少し腫れている感じがあった。そのあとは2か月前と10日前に痛みがあった。
■少し気持ち悪い。

最初の診断&カンファレンス(症例検討会)


【予想した病気と診断の理由/合わない点】
卵巣茎捻転:4か月前からの痛みは腫瘍。来院時の痛みは捻転によるものと推測/運動時の痛み、腫れ

鼠径ヘルニア:持続的でない痛み、間欠的な痛み、腫れ/30代の女性

稀少部位子宮内膜症:症状が出たり消えたりする/1日の中で変動している

【Dr.G】痛みの出方と特徴を再確認してみましょう
・痛みがあったりなかったりする(ゼロではない可能性あり)
・足を動かす時に痛む
・触ると痛い
・徐々に痛みが増幅する
・座っている姿勢で痛くなり、立った姿勢で楽になる

他に考えられる病気も上げてもらい、可能性の高い病気に次の3つが残った。また各々の症状を挙げてもらった。
鼠径ヘルニア:膨らみ、赤か紫色、柔らかい、触れると痛い
・稀少部位子宮内膜症:塊、圧痛
鼠径リンパ節炎:固め、コリコリ

再現VTRのつづき


■紫色に変色

【触診】
■右鼠径部に圧痛と硬い腫瘤を触知
■脇のリンパ節に腫れなし
■下腹部に圧痛あり

【問診】
■腫れの大きさが変化している
■現在月経である。月経は昔からひどい
■妊娠の経験なし
■夫との性行為で痛みがある
■4か月前、2か月前、1か月前の痛みの時も月経だったが、10日前は月経ではなかった

■外陰部に異常なし



最終カンファレンス


3名の研修医全員が病名に「稀少部位子宮内膜症」を上げた。

【診断の理由】
・性交時痛がある
・整理の痛みが重い
・腫れの大きさが変わる
・生理と痛みが合致する
・不妊

【合わない点】
・体表に現れる腫れ
・10日前の痛みの原因が不明

ここで子宮内膜症は普通、腹膜内にできるが、腹膜の外にできるものか?が話し合われた。

すると腹膜と横隔膜の間にある小さな穴を通して、子宮内膜細胞が肺に付着することが上げられた。

ただし下腹部に穴がないため、それに代わるものとして円靭帯(子宮を固定している靭帯)の血管やリンパ管を通して、腹膜の外に出て行くと結論を出した。

スポンサーリンク

最終カンファレンス(つづき)


もう一つの疑問に、月経でなかった10日前の痛みがある。

これについては、痛みはあったりなかったりするものの、痛みがゼロにならないことから、岸田さんは激しい痛みだけ覚えていたと考えられる。

また痛みの強さが4か月前よりは2か月前、さらに今回と階段上に強くなってきていると考えられる。

10日前は月経ではなかったが、長時間座ったことで患部が圧迫されて痛みが増し、岸田さんの記憶に残った。



最終診断


稀少部位子宮内膜症

岸田さんの場合、仕事が落ち着くまでの間、鎮痛剤とプロゲスチン製剤(子宮内膜細胞を抑える薬)を服用。

鼠径部の稀少部位子宮内膜症を手術で切除し、その後、不妊治療を受けている。

ドクターGのメッセージ


子宮内膜症や子宮筋腫は命を奪う病気でないが、将来の赤ちゃんを奪う病気となります。

子宮内膜症は低用量ピルで予防ができると言われています。

もし重い月経痛や大量の鎮痛剤を飲んでいる女性がいたら救っていただきたいです。

出演者


【Dr.G】
神戸市立医療センター中央市民病院 池田裕美枝(いけだゆみえ)

地域医療機能推進機構とは、病院群です。

【研修医】
豊原佑典 神奈川県 横浜労災病院
北原亜耶 京都第一赤十字病院
河端真広 宮城県 大崎市民病院


スポンサーリンク


関連記事


ドクターG『会社にも行けない』の病名は『むずむず脚症候群』8月31日

ドクターG『足の付根が痛む』の病名は『稀少部位子宮内膜症』8月24日


nice!(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。