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サイエンスZERO ミドリムシから作るクッキー、燃料、CO2消費で地球問題を解決する

食糧・エネルギー・二酸化炭素問題を解決する鍵として、注目されるのがミドリムシ。そのミドリムシとはどのような生物なのでしょうか?
2016年4月10日O.A.『サイエンスZERO』から

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ミドリムシ誕生の秘密 特殊な進化とは


もともと動物だったと考えられるミドリムシは、最初葉緑体を持たない捕食性の動物でした。

そのころ食べていたのが、紅藻という光合成をする植物です。しかしあるとき、紅藻の葉緑体を体に取り込んで共存(細胞内共生)。動物でありながら光合成をするようになりました。

ミドリムシの進化 サイエンスZERO

その後、緑色の藻類を食べるようになり、現在の緑色になったのです。



ミドリムシは食糧問題を解決するミドリムシクッキー


ミドリムシにはアミノ酸や脂肪酸など、59種類の栄養素があることがわかってきました。

これは人間に必要な栄養素の半分に相当します。

また、植物が硬い細胞壁で囲まれているのに対して、柔らかい細胞膜で覆われているため、体に吸収されやすい性質があります。

この特性を活かして、ミドリムシの粉末を混ぜたミドリムシクッキーが作られています。クッキー1枚には1億匹分のミドリムシが含まれています。

ミドリムシクッキー サイエンスZERO

バングラデシュではこのクッキーを小学校に配り、栄養不足の改善を図ろうとしています。

【感想】59種類の中に含まれるパラミロンは、きのこなどに植物繊維で大腸がんの抑制に効くと考えられていると言われています。

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ミドリムシを培養できる特殊な環境とは


ミドリムシを純粋培養に必要なのが、高い二酸化炭素(CO2)濃度を保った環境です。

CO2濃度を10%に上げると、水に溶けたCO2が水素イオン(H+)を発生させ、生物の細胞を酸性にするため、ほとんどの動物プランクトンは死んでしまいます。

これはH+を汲み出し、細胞を中性に保とうとするナトリウムポンプの機能を超えるためです。

その点、ミドリムシはナトリウムポンプをたくさん持っているため、CO2濃度が高い環境でも生き続けられるのです。

この特徴を活かすことで、安定して培養することが可能になりました。


ミドリムシのさらなる可能性


ミドリムシを燃料として使う研究が行われています。

通常の環境では、ミドリムシは光合成で糖と酸素を作り、それらを燃焼させることでエネルギーを得ています。

しかし光を遮断すると、糖を燃焼するための酸素が作れなくなります。ミドリムシは糖を油に変え、このときに発生するエネルギーを利用して生き延びようとします。

ミドリムシの体内で油が作られるしくみ サイエンスZERO

この時出る油はワックスエステルと呼ばれ、去年12月行政と5つの企業が協力して、燃料に利用するプロジェクトが始まりました。

[*1]横浜市、ユーグレナ、千代田コーポレーション、伊藤忠エネクス(株)、いすゞ、ANA


ミドリムシを利用するための課題


ワックスエステルは飛行機のジェット燃料として利用できる可能性があるといいます。

それはジェット機が飛ぶような上空でも燃料が固まらないという特徴を持つからです。

良い事づくしのようですが、化石燃料に対しワックスエステルを作るコストは5~10倍くらい高いため、大量に安価に作ることが一番の課題です。

その解決方法がワックスエステルを大量に作り出すミドリムシの品種改良です。現在は1.5倍ワックスエステルを作るスーパーミドリムシが作られています。


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