ドクターG『背中が痛む』の病名は『微小血管狭心症』4月27日

稲葉ちえみさん50歳は、姑を介護をしている主婦。義母は脳梗塞と認知症も患っているが夫は何も手伝ってくれない。
2016年4月27日O.A.

スポンサーリンク

主訴：背中が痛む

患者さんは21時に緊急外来できた稲葉ちえみさん50歳


【問診】
・肩甲骨のあたりが、突き刺されるように痛い
・体温36.0℃、血圧134/80、脈拍82回/分、呼吸数20回/分

【17時】帰宅すると左の肩と胸が痛みだした。
【19時】夕食後、立ち上がった瞬間に背中が痛みだしたが、20分で一旦痛みが少し治まった。
【20時】背中に我慢できない痛みが出た。
【20時15分】背中と胸のあたりにも痛みがあった。

・痛みは2時間ほど続いた。
・同じような痛みが1年前から月に1、2回あったが、こんなに長いのは初めて。
・寒くなると月に3、4回痛む。夜寝ている時に多い。姑のトイレの介護時や外を歩いた時もある。
・生理は不順だがある。
・背中の痛みと一緒に、アゴや奥の歯が痛むことがある。その痛みは20～30分で治まる。

【触診】圧痛なし
【聴診】心音も呼吸音も異常なし

最初の診断&カンファレンス（症例検討会）

衣斐：急性心筋梗塞
福市：狭心症
藤田：冠攣縮性狭心症

診断した理由/合わない点
衣斐：－/歩いて来院、心音とバイタルに異常なし
福市：－/強い背部痛が継続
藤田：早朝に多い/夜にも症状、痛みが持続

研修医が上げたのはすべて心臓の病気でした。

そのほかに見逃してはいけない病気は

■大動脈解離

【Dr.G】症状から整理してみましょう
・背中のほかに、肩や胸、あごにも痛みを感じている。研修医たちはなぜ心臓の病気をあげたのか？

【Dr.G】心臓に問題が起こった時の関連痛はどこに出るか？→あご、肩、胸の辺り、背中


【Dr.G】病気によってどのような検査が必要か？
■急性心筋梗塞→心電図
■狭心症→心エコー検査
　狭心症を確定的にする検査に「心臓カテーテル検査」がある
■大動脈解離→CTスキャン

【Dr.G】ただし今回の患者の場合、救急外来であるため、僅かな時間でも確認できる検査は？
診察での違和感→心音、呼吸音に異常がなかったのに、患者さんはがっかりしていた→ほかの病院にも行ったが何も見つかっていない可能性がある

またストレスで痛みが生じる病気に「身体表現性障害」がある

再現VTRのつづき

【問診】
■ここに来る前に、いくつか病院を回ったが異常がないと言われた
■レントゲン、エコー、心電図、CTスキャン、胃カメラ、MRI、心臓カテーテル検査を受けたが全てで異常なしと言われた
■逆流性食道炎の薬をもらったが効かなかった
■心療内科でも異常なしと言われた

■1年前から生理が不順で、最初は短くなって、その後は長くなった
■2年前から手先が冷えたり、汗が急に出るなどの更年期障害の症状がある

スポンサーリンク

最終カンファレンス

衣斐：高安病
福市：自立神経失調症
藤田：更年期障害

診断した理由/合わない点
衣斐：－/生理不順と関連なし、発症年齢が若い、発熱なし
福市：すべての検査で異常なし/突然の背部痛
藤田：ストレス増加と発症が一致/背中の激痛

すべての病気で可能性が低い

そこでドクターGは、冠動脈の検査でどこを見ているのか確認のために、心臓の模型を取り出した。


そして心臓カテーテル検査で見える冠動脈で模型で表現されていない血管として微小血管を指摘。

更年期障害はエストロゲンの急激な低下で起こるが、症状に血管が収縮・拡張して痛むことがある→狭心症のような症状が起きてもおかしくない

最終診断

【最終診断】
微小血管狭心症

ドクターGはすぐに同じ病院の循環器内科の専門医に、この病気を特定するための詳しい検査を依頼。

【心臓カテーテル検査】
冠動脈の狭窄なし
薬物負荷試験で冠攣縮の誘発なし

【負荷心電図】
陽性所見あり

稲葉さんは、微小血管狭心症であると確定診断されました。

薬を長期服用した稲葉さんは痛みが出ることもなくなり、今は元気に暮らしている。

出演者

【Dr.G】
岡山大学病院 片岡仁美


【研修医】
衣斐（いび）恭介 千葉県 総合病院 国保旭中央病院
福市有希子 埼玉県 上尾中央総合病院
藤田貢司 宮崎県 藤元総合病院

スポンサーリンク

関連記事

ドクターG『温泉で息苦しくなった』の病名は『食物依存性運動誘発アナフィラキシー』5月11日

ドクターG『背中が痛む』の病名は『微小血管狭心症』4月27日

ドクターG『まさか 腰の骨が…』の病名は『副腎性クッシング症候群』4月20日