ドクターG『ひざが痛い』の病名は『急性白血病』7月13日
大城さやちゃん(仮名・6歳)がひざが痛いと言い出した。しばらくすると治るようだが、またぶり返す。
2016年7月13日O.A.
【1か月前】 夜に痛み出し、近所のクリニックに行ったら、触診もレントゲンも問題ないと言われた。痛み止めを飲むと、痛みは治まった。
【2週間前】 37.8℃の熱を出し、風邪っぽかったが、3日ほどで治った。
【5日前】 一輪車で遊んでいた時に痛み出し、転んだわけではない。一人で歩けないほどの痛さだったが、1時間ほどで痛みは治まった。
【1日前】 登校前にひざが痛み出し、階段が降りられないほどだった。
【問診】
■痛いのは右ひざだけで、ひざ全体が痛い
■ひざが痛み出す時間帯はまちまちである
■痛いとき点状出血はなかった。また歯茎からの出血もない。また鼻血も出ていない
■腹痛なし。下痢も風邪がよくなると治った
■食欲がなく、元気がないときがあったが、体重減少なし
■ワクチン接種は1年前の麻しん風しんワクチンが最後である
■夜はよく眠れている
【ひざの身体所見】
■腫れ、発赤(赤み)なし
■紫斑あり(母は転んだ痕と説明)
【ひざの触診】
■熱感なし
■圧痛なし
■ひざ関節の可動域→異常なし
■さやちゃんのバイタル:体温36.8℃ 血圧102/62 脈拍110回/分 呼吸数20回/分
川前:特発性血小板減少性紫斑病
【診断した理由】足のあざ(紫斑)
【合わない点】鼻血がない、ひざの痛みがある
土井:リウマチ熱
【診断した理由】右ひざだけ痛い、食欲低下、元気がない
【合わない点】鼻水やせきが出ていた
井口:反応性関節炎
【診断した理由】先行感染がある、だるい
【合わない点】右ひざだけ痛い
【Dr.G】溶連菌とウイルスとで感染が高いのは?
ウイルスの可能性が高い
【Dr.G】身体所見では腫れや圧痛がなかったことから炎症は考えにくい
【Dr.G】もし成長痛なら片側ではなく両側に痛みが出る
【Dr.G】考えられる見逃してはいけない病気、命に関わる病気は?
・白血病
【合う点】食欲不振、元気がない
【合わない点】鼻血、歯茎からの出血がない
行うべき所見→リンパ節の腫れ、貧血(眼瞼結膜の蒼白)
■首・脇のリンパ節→腫れなし
■眼瞼結膜→貧血なし
■肝臓→1cm程度触知
■脾臓→異常なし
川前:反応性関節炎
【診断した理由】白血病を疑う所見はなかった
【合わない点】
土井&井口:急性白血病
【診断した理由】今の身体所見だけで否定できない
【合わない点】
【Dr.G】肝臓が1cm触れるのはどうか?
子どもの場合、触れることが多い
【Dr.G】次が血液検査を行った結果です。カッコ内は正常値
<血算データ>
白血球数6,700/μL(4,100~15,000/μL)
赤血球数4,980,000/μL(4,100,000~5,200,000/μL)
ヘモグロビン12.4g/dL(11.5~14.4g/dL)
ヘマトクリット37.3%(34.5~43.0%)
血小板144,000/μL(180,000~510,000/μL)
<生化学検査>
尿酸値5.5mg/dL(2.6~6.1mg/dL)
LDH329lU/L(175~320lU/L)
<顕微鏡検査>
白血球に芽球(赤血球や白血球になる前の細胞)が見られる
【Dr.G】さやちゃんの場合、芽球が血液全体の約1%に見られました。明らかに異常が見られます。
さやちゃんには新たに骨髄穿刺(針を刺し骨髄液を調べる検査)を行うことになった。
さやちゃんの血液は、白血病細胞で埋め尽くされ「急性リンパ性白血病」と診断された。
急性白血病
急性白血病と診断されたさやちゃんには、まずご両親に病気の説明をして、ご両親に同席してもらってさやちゃんにお話をしている。
実際には、6歳の子にもわかるような言葉で「血の病気」であること、治療に時間がかかるため、学校を休まなければならないこと、髪の毛が抜けるなどの副作用を説明。
また治れば髪の毛が生え、学校に行けるようになることも話し、みんなでがんばって行こうと話した。
【Dr.Gからのメッセージ】
患者さんに対して謙虚でなければいけない。患者さんに寄り添って患者さんの目線に立って治療を続けていくことが子どもたちの未来につながると思います。
【Dr.G】
齋藤明彦 新潟大学医歯学総合病院 初登場
小児科のエキスパート・子どものための総合診療
【研修医】
川前恵史(よしふみ) 福島県 大原綜合病院
土井万由子 東京医療センター
井口貴文 大阪府 箕面市立病院
ドクターG『突然 ショック状態に‥』の病名は『脾臓摘出後の重症肺炎球菌感染症』7月27日
ドクターG『ひざが痛い』の病名は『急性白血病』7月13日
2016年7月13日O.A.
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主訴:ひざが痛い
【1か月前】 夜に痛み出し、近所のクリニックに行ったら、触診もレントゲンも問題ないと言われた。痛み止めを飲むと、痛みは治まった。
【2週間前】 37.8℃の熱を出し、風邪っぽかったが、3日ほどで治った。
【5日前】 一輪車で遊んでいた時に痛み出し、転んだわけではない。一人で歩けないほどの痛さだったが、1時間ほどで痛みは治まった。
【1日前】 登校前にひざが痛み出し、階段が降りられないほどだった。
【問診】
■痛いのは右ひざだけで、ひざ全体が痛い
■ひざが痛み出す時間帯はまちまちである
■痛いとき点状出血はなかった。また歯茎からの出血もない。また鼻血も出ていない
■腹痛なし。下痢も風邪がよくなると治った
■食欲がなく、元気がないときがあったが、体重減少なし
■ワクチン接種は1年前の麻しん風しんワクチンが最後である
■夜はよく眠れている
【ひざの身体所見】
■腫れ、発赤(赤み)なし
■紫斑あり(母は転んだ痕と説明)
【ひざの触診】
■熱感なし
■圧痛なし
■ひざ関節の可動域→異常なし
最初の診断&カンファレンス(症例検討会)
■さやちゃんのバイタル:体温36.8℃ 血圧102/62 脈拍110回/分 呼吸数20回/分
川前:特発性血小板減少性紫斑病
【診断した理由】足のあざ(紫斑)
【合わない点】鼻血がない、ひざの痛みがある
土井:リウマチ熱
【診断した理由】右ひざだけ痛い、食欲低下、元気がない
【合わない点】鼻水やせきが出ていた
井口:反応性関節炎
【診断した理由】先行感染がある、だるい
【合わない点】右ひざだけ痛い
【Dr.G】溶連菌とウイルスとで感染が高いのは?
ウイルスの可能性が高い
【Dr.G】身体所見では腫れや圧痛がなかったことから炎症は考えにくい
【Dr.G】もし成長痛なら片側ではなく両側に痛みが出る
最初の診断&カンファレンス(症例検討会)つづき
【Dr.G】考えられる見逃してはいけない病気、命に関わる病気は?
・白血病
【合う点】食欲不振、元気がない
【合わない点】鼻血、歯茎からの出血がない
行うべき所見→リンパ節の腫れ、貧血(眼瞼結膜の蒼白)
再現VTRのつづき
■首・脇のリンパ節→腫れなし
■眼瞼結膜→貧血なし
■肝臓→1cm程度触知
■脾臓→異常なし
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最終カンファレンス
川前:反応性関節炎
【診断した理由】白血病を疑う所見はなかった
【合わない点】
土井&井口:急性白血病
【診断した理由】今の身体所見だけで否定できない
【合わない点】
【Dr.G】肝臓が1cm触れるのはどうか?
子どもの場合、触れることが多い
【Dr.G】次が血液検査を行った結果です。カッコ内は正常値
<血算データ>
白血球数6,700/μL(4,100~15,000/μL)
赤血球数4,980,000/μL(4,100,000~5,200,000/μL)
ヘモグロビン12.4g/dL(11.5~14.4g/dL)
ヘマトクリット37.3%(34.5~43.0%)
血小板144,000/μL(180,000~510,000/μL)
<生化学検査>
尿酸値5.5mg/dL(2.6~6.1mg/dL)
LDH329lU/L(175~320lU/L)
<顕微鏡検査>
白血球に芽球(赤血球や白血球になる前の細胞)が見られる
最終カンファレンス(つづき)
【Dr.G】さやちゃんの場合、芽球が血液全体の約1%に見られました。明らかに異常が見られます。
さやちゃんには新たに骨髄穿刺(針を刺し骨髄液を調べる検査)を行うことになった。
さやちゃんの血液は、白血病細胞で埋め尽くされ「急性リンパ性白血病」と診断された。
最終判断
急性白血病
急性白血病と診断されたさやちゃんには、まずご両親に病気の説明をして、ご両親に同席してもらってさやちゃんにお話をしている。
実際には、6歳の子にもわかるような言葉で「血の病気」であること、治療に時間がかかるため、学校を休まなければならないこと、髪の毛が抜けるなどの副作用を説明。
また治れば髪の毛が生え、学校に行けるようになることも話し、みんなでがんばって行こうと話した。
【Dr.Gからのメッセージ】
患者さんに対して謙虚でなければいけない。患者さんに寄り添って患者さんの目線に立って治療を続けていくことが子どもたちの未来につながると思います。
出演者
【Dr.G】
齋藤明彦 新潟大学医歯学総合病院 初登場
小児科のエキスパート・子どものための総合診療
【研修医】
川前恵史(よしふみ) 福島県 大原綜合病院
土井万由子 東京医療センター
井口貴文 大阪府 箕面市立病院
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2016-09-17 11:27
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