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大村智博士がノーベル賞を受賞したイベルメクチンとは?

2015年のノーベル賞(医学・生理学賞)を受賞した大村智博士は、イベルメクチンはアフリカ・中南米の風洞病に対する特効薬となっている。この薬で助かった人の数は10億人とも言われるイベルメクチンについて、わかりやすくご紹介します。

2015/11/29放送のサイエンスZEROから

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微生物から薬を生み出せ


風土病に対する特効薬イベルメクチンの開発に大きく貢献した人物。その開発に欠かせないのが「微生物」
また微生物の全てのゲノムを解読することで新たな薬を生み出す未来が見せてきている


イベルメクチンとは


大村さんが開発した薬がイベルメクチン。この薬は、アフリカ・中南米の風土病で、オンコセルカ症[*1]やリンパ系フィラリア症[*2]の特効薬となる。
またこれらの病気の原因となるのがミクロフェラリアという寄生虫だ。


微生物から薬が作られる方法


・イベルメクチンの素となる物質を作り出す微生物[*3]がいる
・微生物は栄養を取り込み、体内の酵素がこれを分解し、化合物を作り出す
・化合物の中で二次代謝産物と呼ばれる化合物が薬の素となる
※微生物は独自の酵素で独自の化合物を作り出すのだ。
※イベルメクチンは、微生物が作り出したエバーメクチンB1aの一部を変えて創りだされた


微生物が作る化合物が効くメカニズム


β-ラクタム系の化合物[*5]が、細菌の細胞壁を作れなくし、増殖を阻害するのに対して、イベルメクチンは寄生虫の神経系に作用する。
神経の信号を伝える際、神経細胞に神経伝達物質が送られると、イオンの通り道が開き、神経細胞の周囲にあるイオンが通ることで、イオンの電気刺激を受けて、神経伝達が行われる。
イベルメクチンはこのイオンの通り道に絡みつき、イオンの通り道を開きっぱなしの状態にすることで、正常な神経伝達ができないようにするものなのだ。[*6]

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イベルメクチンの補足情報


[*1]オンコセルカ症は感染すると2割の人が失明してしまう
[*2]リンパ系フィラリア症は感染すると足が肥大して歩行困難に陥る
[*3]その微生物の名は「ストレプトマイセス・アベルメクチニウス」といい、放線菌の一種で、この微生物が作り出す化合物がエバーメクチンB1a
[*4]二次代謝産物は、微生物にとって生育に重要でない化合物。ちなみに一次代謝産物は、生育に重要な化合物を指す
[*5]人類初の抗生物質であるペニシリンもβ-ラクタム系の化合物である
[*6]イベルメクチンの分子構造は、人の神経細胞のイオンの通り道に絡みつかない構造になっているため、人への副作用はないという


その他の補足情報


・ひとつの微生物が作る化合物はひとつではなく、食べさせる栄養分を変えると働く酵素が変わり、千差万別の化合物ができる
・化合物を微生物が生産して、他の生物の生育を阻害するものが抗生物質である
・細菌に効く化合物と寄生虫に効く化合物ではそのメカニズムが異なる

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